宮麗の霊界旅行
宮麗の霊界旅行 ー22ー

指導霊は、宮麗の表情を見ながら厳かに、しかし穏やかに淡々と話し始めた。「これから地獄界を訪ねますが、そんなに怖がらずに、冷静沈着にありのままを見聞して下さい。くれぐれも注意しておきますが、決して勝手な行動はせずに、常に私の指示に従い、私から離れないで下さい。地獄の連中は、強欲で、身勝手で、自分の利益の事しか考えない極悪な存在です。中には、凶暴な連中もおりますので、いつ襲いかかってくるか分かりません。ですから絶対に私の側を離れないで下さい。私には善と愛の神軍が付いていますから、危険な状態に陥る事はありません。ですから、極悪な連中に絡まれても、恐れ慄いたり、叫んだり、逃げたりしないでください。私の側にいれば、全く安全です。それでは、地獄界の中層界を先ず訪ねましょう。ここは地獄界の下から2番めに位置している所です。ここに住まう連中は自己中心の身勝手な輩達です。他人を見れば因縁を付けて敵視し、隙あらば悪事を働かそうとしている連中です。初めは笑顔で接近してきますが、次の瞬間、凄い形相に変わり、金品を奪おうとします。連中の笑顔に騙されてはいけません。とにかく私の側を離れないで下さい。


宮麗の霊界旅行 ー23ー

それを聞いて宮麗は、足が竦み、歩けなくなった。でも、ここで挫折しては、宮麗の務めは果たせなくなる。宮麗は勇気を振り絞り、「分かりました。頑張ります。どこにでも指導霊様の後に従って参ります。」「そうですか。覚悟を決めましたか!それでは出発しましょう。」その瞬間、白い雲の絨毯は、いきなり地獄の中層界に入りました。ここが地獄だと言う事は、醜い男達の群衆、生臭い臭いと汚ならしい街並み、薄汚れた草花などを見れば分かる。ある小さな街を宮麗達が歩いていると、ある店の中で怒鳴り合う声がして、沢山の人だかりが出来た。その内、醜い顔の男達が喧嘩を始めた。ギャンブルで損した男が店に火を付け、それに仲間が加わって大喧嘩となった。皆んな手に棒切れや刃物を持ち、それでお互いに殴り掛かっていた。忽ち沢山の怪我人が出たが、誰も、それを止める者は居ない。
ギャ−と悲鳴を上げるもの、逃げ回る者、店から金品を略奪する者。完全なる無法地帯だ。宮麗は、指導霊の陰からこの様子を見ていたが、その内の数人が宮麗達の存在に気がつき、2人の方に向かって来た。宮麗は、キャ–と言って目を閉じたが。指導霊が彼等に「近寄るでない。これ以上近寄ると、痛い目に合うぞ」と脅かしたが、暴徒達は2人に「何だ、こいつら、ぶっ殺せ」と怒鳴りながら、刃物を持って更に近づいて来た。あ、もう駄目かと宮麗は観念した。その瞬間、彼等のいる地面が大きく裂けて、彼等は真っ逆様に下へ落ちて行った。



 宮麗の霊界旅行 ー24–

遠くを見ると、男達は大声を上げながら、相変わらず殴り合いを続け、略奪は更にエスカレートしていた。時折り甲高い悲鳴がしたので、良く見ると数人の女性が男達に囲まれ、裸にされ、乱暴されていた。宮麗は息苦しくなって「あの、私はもう無理です。ここから逃げたいです。地獄界の様子は良く分かりました。」すると指導霊は「ここは、地獄界の中層界ですから、地上の人から見れば、かなり残酷な世界です。先ほどの光景が日常茶飯事です。彼等は霊格が低く、殆んど霊界の太陽を浴びていません。浴びようともせず、返ってその光を避けようとする連中ですから、手に負えません!しかし、彼等とて天の理から見放されている訳ではありません。天上界から、時折り数名の天使がこの地に降臨します。天使達は、連中に霊波を吹き込み、霊界の太陽の光りを屈折させて届けているのです。また定期的に、連中にもっと快適な世界があることを説いています。しかし、彼等は聞く耳を持たず、ものすごい形相で、天使達を追い払おうとします。」「そしたら、どうなるんですか。皆んなここであの様な恐ろしい生活を続けるんですか。」「いいえ、そんな事はありません。彼等も長い年月の後、ここでの生活に飽き始め、もっと明るい境涯を切望する様になります。つまり、霊格が僅かですが、進化して参ります。これも霊的真理の力が働いているからです。全ての存在がその力のお陰で、上昇する定めとなっています。」宮麗は、恐怖に慄いていましたが、指導霊の言葉に少し安堵しました。でも、一刻も早くこの場所から逃げ出したいと思っていたので「あの、次は何処に行くんですか?」と心配した。すると、指導霊は申し訳なさそうに
「あの、あと1ヶ所、お見せしなければならない所がございます。」「え?まだあるんですか?」「そうなんです。地獄の下層界を見ておかなければなりません。これで、地獄の訪問は全て終わります。」宮麗は、再度、暗黒の気持ちになった。死にたい気持ちになった。
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