終わった恋の、その後で。 〜プレイボーイな曲者御曹司は私にだけ奥手らしい〜
「話に聞いてたけど、本当に東雲の式に出るとはなぁ」

勝手に歩み寄ってきて、挨拶もろくになく投げつけられた言葉に、理央はぴりついた笑顔を浮かべた。

「久しぶり。まさか会うなんてねぇ。あ、私そろそろ帰るから、」

話せば話すほど癪に障る男だと知っているので、カタコトを紡いで早々に立ち去ろうとしたものの、しかし徹は無遠慮に理央の手を掴んだ。

「待ってよ。理央が帰るなら俺、二次会行くの止めようかな」

「は……?」

「せっかく会えたし、一緒に飲もうよ」

神経を逆撫でするような爽やかな笑顔だった。

「なんで?二次会行きなよ。私は明日も仕事だから帰るし」

「いいじゃん。同窓会ってことで」

「だから仕事があるんだって」

「少しぐらい構わないだろ?俺さ、今は地元に戻って親父の選挙事務所手伝ってんだよ。お前の近況も知りたいし、今日がチャンスっていうか」

黙っていれば品性のある顔立ちだが、この通り口を開けば自己中でボロしか出ない。

積年の恨みを募らせていた理央は徹の顔面に怒りの感情をぶつけたくて仕方がなかった。

あの時は殴らなかったが、また粉をかけてくるのなら一発ぐらい引っ叩かなければ気がすまない。

掴まれた手を振り払いかけたが止めて、ふと掌を握りしめ、いっそこの男を外へ連れ出そうかと思案する。

無遠慮で、無神経で、自己中な我儘男。

零士がこんな男となぜ未だに友人を続けているのか本当に理解出来ないが、再会した意味を探すなら天誅を下すための引き合わせと考える他ないだろう。

そう、きっとこれは神様の思し召しだ。

「あぁ、うん、分かった……なら外に――」

噛み合わない会話に苛立ちが募り、理央が光を殺した瞳で微笑んだその時。

「お取込み中ごめんね」

子供をあやすかの如くのんびりとした調子で低く落ち着いた声音が響き、二人の間に伊佐美が現れた。

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