32歳、推し活女子。大恋愛の失恋の末、アプリで出会ったハイスペ男性に溺愛される(かも)
14,似たものカップルはうまくいく?いかない?
アニタッチは東京ドームシティアトラクションズから少し離れた場所にあります。
アトラクションズを横切り、ホテルを通り過ぎて、黄色の目立つビルの横から下ったところにあって、同じ敷地内なのにたどり着くまでに十分もかかってしまいました。
本当に東京ドームは広いと痛感します。
その長い距離も初めて食べたタコベルの美味しさを語っているとすぐでしたが、一階に降りて薄い緑色の看板を見ると私は散々タコベルの素晴らしさを語っていたのにそのことを忘れて、本物のアニタッチに来たことにテンションがマックスになりました。
「あっ!これ。テレビで見た通りの看板!」
思わず指をさして声に出して伝えたところ、彼は苦笑しています。
「え?そりゃ、テレビで見たのならその通りだと思うけど」
冷めた彼の言葉に私は少しイラッとしました。
ええ?せっかく本物を見たのに、この感動が伝わらないの?
悔しくなって私は懸命に彼に説明します。
「そうだけど、やっぱり本物を見たらテンション上がるじゃない?やっと来れたって感じがするの!」
「そうかな。色々な考え方があるんだね。ひとまず中に入ろうか。テレビで見た動物と触れ合えば、もっとテンション上がるよ」
「ええ。そうね」
私は彼に促されるまま、アニタッチの中へと入りました。
入口にはレジとお土産コーナーが広がっています。
そのお土産コーナーは魅力の塊でした。
「うわあ、可愛いぬいぐるみがたくさん!やっぱりカピバラが多いね。お風呂に入るカピバラが有名らしいよ。あ、あのぬいぐるみ、フワフワで触り心地が良さそう!」
思わず駆け寄りたくなった私ですが、彼に手を引かれて戻されます。
彼も呆れたのか苦笑していました。
「もうお土産を見るのかい?お土産は最後でいいと思うけど」
いけない、いけない。
つい癖で、目に入ったものに夢中になってしまいます。
魅力的なものが近くにあると、どうしても引き寄せられてそれしか目に入らなくなります。
両親からもよく 「お前はすぐに寄り道ばかりする!」と怒られました。
夢中になると無我夢中になってしまうのが私の欠点。
(いけない、いけない。今はこれから彼氏になるかもしれない男性と一緒にいるのよ。彼氏を立てる大和撫子にならないと、きっとまた捨てられる)
せっかくいい感じなのだから慎重に動こう。
そう覚悟を決めたのですが、なんとその考えは杞憂でした。
料金を払い、いざ、中に入ると豹変したのは彼の方です。
「すごいな。かわいい子ばかりいるよ」
彼の声が高くなりました。
まるでお母さんが電話に出る時のような外向きの声。
気持ちはわかります。
中に入ると、最初に展示されていたのは見るも可愛い小動物たち。
パンダマウスの大群や、リスみたいな尻尾がある子、ヒヨコや小さなハリネズミなど、可愛いがいっぱい詰まっていました。
それを見た和樹さんは目の色が変わったのです。
完全に目にハートが浮かんでいます。
持っていたスマホを手にすると、私に声をかけました。
「俺が写真を取るよ。ともえさんはガンガン触れ合っちゃって。というか俺、夢中になっちゃうかも」
和樹さんはそう言ってモルモットのところに駆け足になりました。
置いていかれた私は呆然。
(いやいやいや!普通、女の子を置いて行っちゃう?)
放置されるのは寂しいので私は和樹さんを追いかけます。
彼はモルモットのケージの前で鼻息荒く顔を近づけていました。
「うわぁ、かわいい。すごくかわいいな。これ、触っていいんだよな?」
私が黙ってケージの前に貼ってあった 「ふれあいOK」の紙を指さすと、彼は満面の笑みで手をモルモットに向けました。
「いいんだ!かわいいな」
そう言いながら手をモルモットに近づける和樹さんでしたが、興奮しているのがモルモットに伝わったのか、モルモットは彼の手をすり抜けて私の方へ。
私がモルモットを彼から守るように手をゆっくりと差し出すと、モルモットは私の手の影に隠れるように擦り寄ります。
それを見た和樹さんは逃げられて一瞬しょんぼりしましたが、すぐにまた笑顔になりました。
「ともえさん、すごい!動物から愛されてる」
「違うよ。ゆっくり動いているだけだよ」
「いや、すごいって。俺もゆっくりと動いたのに逃げられたんだから」
そういう認識なの?
私が見る限り、捕食者にしか見えない動きだったけど。
そう思いながら私がゆっくりとモルモットを撫でていますと、和樹さんがモルモットにスマホのカメラを向けました。
「そのまま、そのまま」
そう言ってカメラをカシャリ。
それだけなら良かったのですが、今度は私の顔にスマホを向けて、 「はい、チーズ」と言います。
写真を撮られるのは嫌だなと思いつつも、頑張って笑顔を作りました。
カシャリと音がし、彼は画像の出来栄えを確認します。
「うん。よく撮れている」
満足げに撮った画像を見せてきたのですが、自画自賛するくせに写真は超ドアップでした。
画面の八割が私の顔みたいな状況。
これじゃ、まるで私の顔が大きいみたい。
私は思わず抗議しました。
「近い、近い! もっと離れて撮って!」
私が抗議すると、和樹さんは「えっ、すごく可愛いと思うけど……」と、ちょっとだけしゅんとした顔をしました。
(だ、だって、画面いっぱいに私の顔があったら恥ずかしいじゃない……!)
その後も彼は動物たちを夢中で追いかけ、良い写真が撮れるたびに「見て見て!」と満面の笑みで私に見せてきました。
小動物に夢中になる彼を見つめながら、私はふと思います。
夢中になると他のことが見えなくなってしまうところなんて、アイドルに全力投球な私とそっくりだと。
——私たちは、きっと似たもの同士のカップルなんだろうな。
ぶつかり合うこともあるかもしれないけれど、お互いの「好き」をまっすぐに尊重し合える関係なら、きっと大丈夫。
そう自分に言い聞かせていました。
アトラクションズを横切り、ホテルを通り過ぎて、黄色の目立つビルの横から下ったところにあって、同じ敷地内なのにたどり着くまでに十分もかかってしまいました。
本当に東京ドームは広いと痛感します。
その長い距離も初めて食べたタコベルの美味しさを語っているとすぐでしたが、一階に降りて薄い緑色の看板を見ると私は散々タコベルの素晴らしさを語っていたのにそのことを忘れて、本物のアニタッチに来たことにテンションがマックスになりました。
「あっ!これ。テレビで見た通りの看板!」
思わず指をさして声に出して伝えたところ、彼は苦笑しています。
「え?そりゃ、テレビで見たのならその通りだと思うけど」
冷めた彼の言葉に私は少しイラッとしました。
ええ?せっかく本物を見たのに、この感動が伝わらないの?
悔しくなって私は懸命に彼に説明します。
「そうだけど、やっぱり本物を見たらテンション上がるじゃない?やっと来れたって感じがするの!」
「そうかな。色々な考え方があるんだね。ひとまず中に入ろうか。テレビで見た動物と触れ合えば、もっとテンション上がるよ」
「ええ。そうね」
私は彼に促されるまま、アニタッチの中へと入りました。
入口にはレジとお土産コーナーが広がっています。
そのお土産コーナーは魅力の塊でした。
「うわあ、可愛いぬいぐるみがたくさん!やっぱりカピバラが多いね。お風呂に入るカピバラが有名らしいよ。あ、あのぬいぐるみ、フワフワで触り心地が良さそう!」
思わず駆け寄りたくなった私ですが、彼に手を引かれて戻されます。
彼も呆れたのか苦笑していました。
「もうお土産を見るのかい?お土産は最後でいいと思うけど」
いけない、いけない。
つい癖で、目に入ったものに夢中になってしまいます。
魅力的なものが近くにあると、どうしても引き寄せられてそれしか目に入らなくなります。
両親からもよく 「お前はすぐに寄り道ばかりする!」と怒られました。
夢中になると無我夢中になってしまうのが私の欠点。
(いけない、いけない。今はこれから彼氏になるかもしれない男性と一緒にいるのよ。彼氏を立てる大和撫子にならないと、きっとまた捨てられる)
せっかくいい感じなのだから慎重に動こう。
そう覚悟を決めたのですが、なんとその考えは杞憂でした。
料金を払い、いざ、中に入ると豹変したのは彼の方です。
「すごいな。かわいい子ばかりいるよ」
彼の声が高くなりました。
まるでお母さんが電話に出る時のような外向きの声。
気持ちはわかります。
中に入ると、最初に展示されていたのは見るも可愛い小動物たち。
パンダマウスの大群や、リスみたいな尻尾がある子、ヒヨコや小さなハリネズミなど、可愛いがいっぱい詰まっていました。
それを見た和樹さんは目の色が変わったのです。
完全に目にハートが浮かんでいます。
持っていたスマホを手にすると、私に声をかけました。
「俺が写真を取るよ。ともえさんはガンガン触れ合っちゃって。というか俺、夢中になっちゃうかも」
和樹さんはそう言ってモルモットのところに駆け足になりました。
置いていかれた私は呆然。
(いやいやいや!普通、女の子を置いて行っちゃう?)
放置されるのは寂しいので私は和樹さんを追いかけます。
彼はモルモットのケージの前で鼻息荒く顔を近づけていました。
「うわぁ、かわいい。すごくかわいいな。これ、触っていいんだよな?」
私が黙ってケージの前に貼ってあった 「ふれあいOK」の紙を指さすと、彼は満面の笑みで手をモルモットに向けました。
「いいんだ!かわいいな」
そう言いながら手をモルモットに近づける和樹さんでしたが、興奮しているのがモルモットに伝わったのか、モルモットは彼の手をすり抜けて私の方へ。
私がモルモットを彼から守るように手をゆっくりと差し出すと、モルモットは私の手の影に隠れるように擦り寄ります。
それを見た和樹さんは逃げられて一瞬しょんぼりしましたが、すぐにまた笑顔になりました。
「ともえさん、すごい!動物から愛されてる」
「違うよ。ゆっくり動いているだけだよ」
「いや、すごいって。俺もゆっくりと動いたのに逃げられたんだから」
そういう認識なの?
私が見る限り、捕食者にしか見えない動きだったけど。
そう思いながら私がゆっくりとモルモットを撫でていますと、和樹さんがモルモットにスマホのカメラを向けました。
「そのまま、そのまま」
そう言ってカメラをカシャリ。
それだけなら良かったのですが、今度は私の顔にスマホを向けて、 「はい、チーズ」と言います。
写真を撮られるのは嫌だなと思いつつも、頑張って笑顔を作りました。
カシャリと音がし、彼は画像の出来栄えを確認します。
「うん。よく撮れている」
満足げに撮った画像を見せてきたのですが、自画自賛するくせに写真は超ドアップでした。
画面の八割が私の顔みたいな状況。
これじゃ、まるで私の顔が大きいみたい。
私は思わず抗議しました。
「近い、近い! もっと離れて撮って!」
私が抗議すると、和樹さんは「えっ、すごく可愛いと思うけど……」と、ちょっとだけしゅんとした顔をしました。
(だ、だって、画面いっぱいに私の顔があったら恥ずかしいじゃない……!)
その後も彼は動物たちを夢中で追いかけ、良い写真が撮れるたびに「見て見て!」と満面の笑みで私に見せてきました。
小動物に夢中になる彼を見つめながら、私はふと思います。
夢中になると他のことが見えなくなってしまうところなんて、アイドルに全力投球な私とそっくりだと。
——私たちは、きっと似たもの同士のカップルなんだろうな。
ぶつかり合うこともあるかもしれないけれど、お互いの「好き」をまっすぐに尊重し合える関係なら、きっと大丈夫。
そう自分に言い聞かせていました。