Should I Stay or Should I Go
 思えば、太田がすっぽかしても謝らないのも、もう当然になってきている。
「彼は、桐生さんの貴重な時間を捧げるだけの相手?今までだけでなく、これからもずっと」
 そんな、先生の言葉がよみがえる。
 太田から、一度も結婚の話が出ないことにもモヤモヤしていたが、本当はそこではないような気がする。
 万一、結婚したとしても、太田と一緒に人生を歩めるとは思えない。
 別れる為に、何か理由やきっかけは必要ないのだろう。
 しかし、自分に自信もなければ勇気もない私には、何かが欲しかった。

 カレンダーを見遣り、来週末は私の誕生日だということを思い出す。
 いつも、特に細かい約束をせず、週末にあのカフェで待ち合わせているのだが、私は敢えて太田に電話をかけた。
「もしもし?」
 太田の声以外に、やけに大きい音楽、ジャラジャラとうるさい音が聞こえてくる。
「桐生ですけど。聞こえてる?」
「ああ、今パチンコ中」
< 15 / 23 >

この作品をシェア

pagetop