愛してるなんて、噓でしょう?

34話.俺の彼女になって

美月 side
「美月ちゃん、話したいことがあるんだ」

蓮さんからそう言われたのは、仕事帰りのことだった。


いつもと違う真剣な声。


私は少し緊張しながら、彼の待つ場所へ向かった。


そこは、以前一緒に夜景を見た場所だった。

「蓮さん」

「来てくれてありがとう」

「どうしたんですか?」

蓮さんはすぐには答えなかった。


街の明かりを一度見つめ、それから私に向き直る。

「最近、少し考えていたことがあるんだ」

「はい」

「美月ちゃんと一緒にいる時間が、俺にとってどれだけ大切なのか」

彼は私の手を取った。

「君と話すことも、笑い合うことも、何気ない時間を過ごすことも。全部、俺にとって特別なんだ」

「蓮さん……」

「本当は、もっと早く伝えたかった」

蓮さんの指先が、少しだけ私の手を握り直す。

「美月ちゃん」

「はい」

「俺は君が好きだ」

真っ直ぐな言葉だった。


胸が大きく鳴る。

「誰にも譲りたくないと思うくらい、大切にしたい」

彼は少しだけ苦笑した。

「独占欲が強いところもあると思う。君を困らせることもあるかもしれない」

「……」

「それでも、君の気持ちを無視したくない。君には、君の意思で俺を選んでほしい」

蓮さんは私を見つめた。

「俺の彼女になってくれませんか?」

その瞬間、胸の奥にあった迷いが少しずつほどけていく気がした。


蓮さんの優しさ。


時々見せる寂しそうな表情。


まだ知らない過去。


全部を知っているわけではない。


それでも、今の私は彼と一緒にいたい。

「……はい」

声が少し震えた。

「私も、蓮さんが好きです」

彼の表情が、ゆっくりと明るくなる。

「本当に?」

「本当です」

蓮さんは、私の手を両手で包んだ。

「ありがとう」

その声は、いつもより少しだけかすれていた。

「これからは、恋人として一緒にいてもいい?」

「もちろんです」

蓮さんは優しく笑った。


その笑顔を見て、私も笑った。


私たちは、ようやく恋人になった。

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