もしもこの先-先生との約束-(仮)

「ねぇねぇ!!
じゃんけんして負けた人、
太郎と話してきて☆」


誰かが言った。


坂口先生は一人、生徒が並ぶ裏で
壁に寄り掛かりながら立っている


先生のところに行きたいな〜…


“行って、話したい”と思った。


先生はいつも私を褒めてくれる。


「森岡、よくやったな♪」


テスト前には応援、
終わったあとには
“よくやった”と…


今まで
頑張ることをしなかったからか
褒められた記憶はない。


だから
先生に褒められたことが嬉しくて
褒められたくて頑張ってる。
と言ってもいいくらい。


とにかく褒めてもらいたかった。



坂口先生の所に行く
じゃんけんは本気だったみたいで
すぐにじゃんけんは始まった。


「じゃんけんぽんっ!!」


あ、負けた…


「優ちゃんに決まり〜!!
行ってきて!」


みんなが笑う中


「しょうがないなぁ〜」


とか言いながらすぐに立って
先生の元へ走って行った。


行きたいと思ってたから
素直に嬉しかった。



「先生、楽しみだね!!」


なんだか先生を目の前にしたら
緊張しちゃって
訳わかんないこと言っちゃった。


主語抜けたし…
いきなり行って
いきなり話したから
先生も驚いていた。


そして先生は首をかしげた。


私はその場にいられなくなって
走って逃げてしまった。
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