きみが窓を見なくなるまで
第十一章 うまく笑えない日
隼人くんが読み終えたのは、手紙を出せない人の話だった。
書いては封筒へ入れ、次の日にはまた開ける。
机の引き出しに、宛名のない封筒が増えていく。
「最後、出したんだ」
私が言うと、隼人くんは頷いた。
「うん。でも、返事は書いてなかった」
「返ってきたかどうか?」
「そう」
私は表紙を見た。
机の上に、一通だけ封筒が描かれている。
「返事が来たところまで、読みたかった?」
聞くと、彼は少し考えた。
「いや。出すところまででよかった気もする」
私は顔を上げる。
隼人くんは、閉じた本の角を指で押さえていた。
「返事が怖くて、ずっと出せなかったんだろうから」
私はその指先を見て、ゆっくり頷いた。
書いては封筒へ入れ、次の日にはまた開ける。
机の引き出しに、宛名のない封筒が増えていく。
「最後、出したんだ」
私が言うと、隼人くんは頷いた。
「うん。でも、返事は書いてなかった」
「返ってきたかどうか?」
「そう」
私は表紙を見た。
机の上に、一通だけ封筒が描かれている。
「返事が来たところまで、読みたかった?」
聞くと、彼は少し考えた。
「いや。出すところまででよかった気もする」
私は顔を上げる。
隼人くんは、閉じた本の角を指で押さえていた。
「返事が怖くて、ずっと出せなかったんだろうから」
私はその指先を見て、ゆっくり頷いた。