幼馴染のくせに、キスがずるい。
第1章 幼馴染に、人生最悪の相談
19歳になった。
大学生にもなった。
なのに、私には重大な問題がある。
それは。
「……キスって、どうやってするんだろ」
人生で一度も、キスをしたことがない。
いや、別に珍しくないと思う。
思うんだけど。
好きな人ができてしまった今、この問題はかなり深刻だった。
だって、もし。
もしも久世先輩と、そういう雰囲気になったら?
「…………無理」
想像しただけで、枕に顔を埋めた。
恋愛小説なら何十冊も読んできた。
なのに、実践経験は驚くほどゼロ。
そんな私、小鳥遊紬季が頼れる相手は、一人しかいなかった。
スマホを手に取り、幼馴染とのトーク画面を開く。
『今からうち来れる?』
送信して、わずか三秒。
『なに、寂しくなった?』
「……ほんっと、腹立つ」
私は迷わず返信した。
『人生相談。真面目なやつ』
すると。
『了解。プリン買ってく』
……こういうところが、ずるい。
19年間一緒にいる幼馴染は、私の機嫌の取り方を誰よりも知っている。
だけど、このときの私はまだ知らなかった。
今日の相談が、私たちの19年間をひっくり返すことになるなんて。