窓のない窓際
 
「あの、しつこいんですけど!?」


俺の方を向いたかと思えば、今度はいきなり机をバンッと叩いて立ち上がった。


血走った大きい目で俺を睨み付ける。


そんなふうに睨まれたもんだから、思わず困惑してしまう。


え!?


今、俺何か変なこと言ったっけ!?


クラス中の視線が俺たちに集中する。


「お……おい、水上!?
急にどーした!?」


あたふたと焦っている余裕のない俺は、いつもの俺じゃない。


「嫌い……っ!
私に二度と話しかけないで!」


水上のでっかい目から、ポロポロと大粒の涙が流れ落ちる。


「何見てんの?」「空見てんの?」「曇ってるね」「あ、鳥」……。


やっぱり俺、なんにも変なこと言ってねーじゃん!

 
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