【長編】ホタルの住む森

ゆるいスロープのなだらかな丘の上に私たちの新居はあった。

晃の祖父の住んでいた家で今までは、晃が独りで住んでいた。

ここで私たちは共に時を刻みだす。

春には一面の花畑、夏には降るような星空がとても綺麗で、宇宙を独り占めした気分になるこの丘が私は大好きになった。 

晃と共に過ごす時間はとても緩やかに、穏やかに過ぎてゆく。

私はひと針ひと針思いを込めて、真っ白な布地に銀の糸で刺繍を施してゆく。


真っ白な絹に咲く小さなの銀のバラ。


あなたへの永遠の愛を縫いとめるようにm毎日すこしづつドレスを仕上げてゆく。


私たちはとても幸せだった。


< 128 / 441 >

この作品をシェア

pagetop