【長編】ホタルの住む森


君が生まれた日

僕のもとを永遠に飛び立った天使が空を茜色に染めた。

人生で一番哀しい日に、君は僕の救いとなる為彼女の全てを受け継いでこの世に生まれてきた

無垢な瞳で何も無い空間に微笑み両手を差し伸べる君を見ていると、君には茜が見えているのかもしれないと思うときがある


君を包む風が、茜の声を運んで子守唄を奏でる


太陽の光が優しく君に微笑みかけ、月は君を抱きしめる


この世の全ての生命が茜の意志を伝えようと君に語りかけている


暁は真っ白な心でそれを感じ、受け止めているんだろうか


彼女が残した全ての愛を受け継いだ暁

君が生まれる日を茜がどんなに待っていたか僕は知っている

茜は君の生まれた瞬間にどんな想いを残して逝ったんだろうか


だから僕は暁の寝顔に願ってしまう


せめて夢の中では、母の腕に抱いてもらえますように


せめてひと時の幻でも、二人が親子として過ごせますように


++ あなたが生まれた日 Fin ++


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