【長編】ホタルの住む森

怒ったような顔をして私の腕を取ると、ずんずんと山道を歩いて奥へ奥へと入っていく。

長めの丈のAラインのワンピースにハイヒールの私には、舗装もされていない獣道を晃の歩幅に合わせて歩くのは無理があった。

少し歩いただけでよろけて転びそうになる。

晃は腕を伸ばしてよろける私を支えるとそのまま抱き上げて、どんどん森の奥へと入っていく。

「晃…?いったいどこへ行くつもり?
こんな山の中に何があるの?」

「……そのうちわかる」

晃は冷たい声で私と目を合わせないで答える。

彼が私の目を見て話さないなんて、今まで一度も無かった事だ。

晃……何を考えているんだろう?


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