番外編 芦原大成の災難

午後七時、待ち合わせ場所に到着。
待ち合わせ場所は繁華街にある落ち着いた雰囲気のイタリアンレストランだった。


『お待たせ〜』


芦原が店に入ると大学時代の友人が二人座っていた。

『おう!芦原久しぶり』


スーツ姿の二人が軽く手を挙げて声を掛けた。


『松本、浜崎。久しぶり〜。』

芦原は二人の横に座った。
芦原の隣にいるのは松本。
黒いセルフレームのメガネを掛けた青年だった。社会人にしてはやや長めの髪型だが、アパレル関係の会社に勤めているから、まぁ許されるのだろう。
スーツひとつにしても相変わらずセンスがいい。


もう一人、奥側に座っているのが今回の幹事、浜崎だ。
浜崎は大手商社に勤めている。
印象が大事ということで、髪も短く、清潔感と誠実感に溢れている。
人懐っこい笑顔も学生時代から変わらない。


『女の子は三人。俺の会社の後輩の紹介な。別のとこで待ち合わせてるから、もうすぐくるよ。料理はコース頼んでるから。飲み代は一応男持ちでヨロシク』

浜崎はさらっと段取りを説明した。


学生時代に比べると合コンの回数は減っているらしいが、それでも月一ペースで女の子と飲んでいるらしい。

芦原にしてみればうらやましい話である。


それから、最近の近況報告を互いに話していたが、やがて三人連れの女の子が店に入ってきた。

『来たぞ』

松本が小声で囁いた。


途端に芦原の心臓はあり得ない程の勢いで高鳴り出した。


芦原大成、負けられない勝負がはじまった。
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