奴のとなり
ただ、一樹桃矢は嬉しそうだった。
あたしは面倒くさくなって、
訂正も言い訳も止めておいた。
この人は心の中では全部理解していて、
悪ふざけをしているだけな気がしたから。
「まぁおじさんでもいいけど、一応な。
俺は七海、よろしくね、桜ちゃん」
おじさんならぬ、
ナナミさんスマイルはモテる。
そう思わせるような笑顔を頂いた。
あたしの好きな人っていうカテゴリーに、
ナナミさんも加わった。
ナナミさんと話し込んでいて、
あたしは奴のことをうっかり忘れていた。
焦って奴の方へと振り返ると、
奴はぐっすりお休み中だった。
しかも、窓際のテーブル席で。