奴のとなり
奴はどんどん彼女達との距離を詰めていて、
早くしないと手遅れになってしまう。
手をぎゅっと握り締める。
「桃矢!!」
やっと出た声は想像以上に大きくて、
彼女達も奴も動きを止めた。
そして視線はあたしに集中する。
恥ずかしいやら情けないやらで俯いてると、
奴はあたしの手を取り駆け出した。
あぁ、お姉さん達に挨拶しないと!!
慌てて振り返ると、呆然と立ち竦んでいるのが見えた。
そんなに運動は得意じゃない。
それに帰宅部。
走ることなんて早々ないから、
あたしの心臓は異常に響いたし、
呼吸は荒くなるのも早い。
早くそれに気づいて足を止めてくれないと死ぬ!!