奴のとなり



話を聞いてるうちに、胸が締め付けられた。



天然って言われるからか、理由はわからない。



でも、泣きたくなった。



目の奥が熱いのが分かる。



胸の奥も。



あたしはいつの間にか
握り締めていた手を緩めていて、涙を拭う。



涙に驚いたらしい奴は、


「どっか痛てぇのか」


「腹か、頭か」


、なんて見当違いなこと言ってる。



あたしは必死に首を振ると、
止まらない涙を放って置いた。



これの止め方が分からない。



それに涙を流すとやけに喉が渇く。



自分用に運んできた林檎ジュースを飲み干すと、
深い深呼吸を一つ。



うん、落ち着いてきた。










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