奴のとなり



「ははっ、
一樹には言わないと分からないよ」



ナナミさんの愉快げな声がする。



さすがエスパーナナミ。



考えていることをよく分かっていらっしゃる。



感心したように頷くと、あたしは奴を見上げる。



「撫でて」



「は?」



「いいから!!」



「あぁ」



言われるがまま、奴はあたしを撫でる。



気持ちいい。



寝てないと貰えないと思ってた優しさは、
口に出しても与えられるものだったんだ。



ほっと安心しきっていると、


「彼女おらん俺への当て付けか!!」


って茶化す声が聴こえたけど、知らん振りしといた。



今怒って止められるよりも、
この心地よさをとったから。










< 182 / 555 >

この作品をシェア

pagetop