奴のとなり
「ははっ、
一樹には言わないと分からないよ」
ナナミさんの愉快げな声がする。
さすがエスパーナナミ。
考えていることをよく分かっていらっしゃる。
感心したように頷くと、あたしは奴を見上げる。
「撫でて」
「は?」
「いいから!!」
「あぁ」
言われるがまま、奴はあたしを撫でる。
気持ちいい。
寝てないと貰えないと思ってた優しさは、
口に出しても与えられるものだったんだ。
ほっと安心しきっていると、
「彼女おらん俺への当て付けか!!」
って茶化す声が聴こえたけど、知らん振りしといた。
今怒って止められるよりも、
この心地よさをとったから。