奴のとなり



「信じられない!!いつもの桃矢くんみたいに、ふんって怒って帰っちゃえばいいのに!!風邪引いたらどうすんのっ!!」




怒ってまくしたてて、あたしはぼかぼか叩いた。



ほんと、いつもみたいにしてくれてたら、こんなことにならなかったのに。



何で今日に限ってこんなことすんの。



寒いのに。



夜なのに。



ちょっと泣けてきた。



よくわかんない涙が。



奴はあたしを見て少し目を見開いて、それから優しい目をして笑う。



「誕生日だろ、桜さん」



意外な言葉にあたしは自分が誕生日だったってことを忘れてたって思い出した。













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