奴のとなり



月曜日、学校が始まる



桃矢くんと並んで歩く



季節は春



もうすぐ1年が終わり、学年が変わる



そんな少しソワソワしてしまう季節



ただ、あたしは調子が悪い



「ーーら、ーー…くら?」



「へ?」



「さっきから変。どうした?」



桃矢くんが心配そうに、でも仏頂面で訪ねる



どうやら全く話を聞かずにトリップしていたらしい



「なんでもない」



「…なら、いい」



と言いながら、桃矢くんはあたしのカバンを手に取った



何でもないのに



こういうとき甘やかされてるなって実感するんだけど、わかっていてついつい甘えてしまう



桃矢くんにカバン持たせるなんて、ケイちゃんに指差して笑われそうだよ



桃矢くんはあたしのクラスの入り口まで送ると、「何かあったら、すぐ呼べ」とだけ言い残して自分のクラスへと歩いていった



ちょっと過保護だと思う



自分の席に着くと、すでに小悪魔さんは来ていて読書していた



挨拶を交わし、話していると



「体調悪い?」



と桃矢くんと同じことを聞かれた



顔色が悪いの?



そんな酷い顔してる?



自分じゃわからない



でも体調が悪いのは認める



朝から頭痛と腹痛が酷いから














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