奴のとなり



楽しい宴は朝日が昇るまで続いた



冷たい風にあたりたくて、玄関に座りこむあたしの元に、誰かの足音



振り向かなくても誰だかわかる



「疲れたか?」



「ううん、楽しい。風にあたりたくなったの」



「そうか」



「桃矢くん、あたし幸せ。みんながいて、桃矢くんがいて」



「あぁ」



「桃矢くんは幸せ?」



「あぁ」



その答えに、その空気に、桃矢くんはきっと笑ってるって感じた



「結婚の平均年齢っていくつ?」



「さぁ、25とかじゃねぇの」



「ふーん…」



「桜、やりてぇことあんのか?」



「夢?思いつかないや」



「なら、早まりそうだな」



「ーー…?」



何が?



そう聞こうと顔をあげると、桃矢くんの顔が思っていた以上に近くてドキドキした



「桃矢くん、大好き」



「知ってる」



唇が触れて、あたしは目を閉じた



キスは何度もしてるのに、やけにドキドキして、やけに熱い



まだ見えない未来に誓いでもたててる気持ちになった



脳裏にあたしと桃矢くん、その間に小さな赤ちゃんが笑ってるところが浮かんで



それが本当になればいいなって密かに願った



あたしがあたしである限り



桃矢くんが桃矢くんである限り



一緒にいたい



それがあたしの今の夢












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