奴のとなり



あたしは奴の寝ている
ベッドの端に腰を下ろすと、
奴の頬に触れた。



一瞬奴の顔が強張ったような気がするけど、
きっと気のせい。



「うん、やっぱり先生に薬もらおう」



立ち上がろうと、
両手をベッドにつく。



力を入れた瞬間、
右手首を掴まれた。



熱い。



「どうし・・・」



訊ねようとして、
口を開きかけたとき、
熱いものがあたしの口を塞いだ。



咄嗟に何か判断出来なくて、固まる。



驚きすぎて、
目は思いっきり見開いてるお陰で、
状況は飲み込めた。








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