林檎と、キスと。
ゆっくりと唇が離れたあと、彼は、
「いただき」
と言って、いたずらに笑った。
「いただき、って…」
眉間にシワを寄せ彼を睨みつけたものの、胸のドキドキは止められない。
悔しいけれど、たった数秒の出来事で、わたしの“すべて”は彼のものになってしまった。
“今日、この瞬間のためだけに、わたしは生きてきたのだ”なんて思ってしまうほど。
「このまま、一緒に年越しとか、…どう?」
ちょっぴり甘えた声で言う彼に、わたしの胸は素直に反応する。
《まだ彼女ではないけど、一緒に過ごしてくれる女の子はいるんです》
ふと、彼の言葉を思い出した。
「イヤって言っても、いるんでしょ?…そのつもり、だった…?」
彼は、フッと笑ってごまかして言う。
「0時ちょうどにキスしような」
【END】
