有罪モラトリアム
そんな楽しい日々の中、心の中である変化が起こりました。
カナタさんといつものようにレベル上げをして遊んでいたときのことです。
敵と戦っていたら、いつのまにか背後から別の敵にも襲われていました。
1匹はなんとか倒したものの、もう1匹は強くて2人とも瀕死の状態になってしまいました。

彼は敵を引き付け、
「ユキさんは逃げてください」 と、走りだしました。

実はこんなこと日常茶飯事で、私がたくさんの敵を引き連れてしまったり、間違って強い敵に勝負を挑んでしまった時なんかは、いつも彼は自分が犠牲になろうとしました。

そのときも、結局彼を死なせてしまい、自分も死んでしまいました。
2人で仲良くセーブポイントに戻ります。

私「カナタさん、いつも助けてくれてありがとう・・・。そして、助けられなくってごめんなさい・・・。」

カナタ「ユキさんのこと助けたいのに、結局いつも2人で死んじゃいますねw」

カナタさんの優しいところ、スキだなぁ・・・。

あれ?スキ??????

スキってまさか・・。

いやいや、ゲームの世界で人を好きになるなんておかしいし!

彼のこと何も知らないし!ありえない・・・。

キット、キノセイ。

私は気のせいだと思い込もうとしました。
でも、私は彼がログインしない日があるとションボリしている自分がいることに本当は気づいていました。
一緒にいるとすごく楽しい事に本当は気づいていました。
そして、いつまでも一緒にいたいと思っていました。

これを恋ではなく、一体他にナニと呼べばいいのでしょうか?
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