【完】ペテン師との甘い夜
「ただ、そこからが更に勝負。」



「そこから?」



信号が青に変わり朱美ちゃんは華奢な足でアクセルを踏む。



「そうよ。一方がセキなんだからもう一方は別物。私が思うにそれは…。」



「霧島…勇治。」



「ええ、そう。霧島勇治ってことで当たりでしょう。」



彫刻みたいな横顔は唇のみ無機質に動く。



「だけど、何故、殺人犯で、しかも母親を殺した男と協力する?何故愛人の息子である私に近寄った?」



謎は、また謎を呼ぶ。
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