夢の国のアリス


わたしの方へ片手を差し出す白兎

わたしは一歩、後ろへ後退った。



“アリス”


自分の名前のはずなのに、

その響きに怖いような、不思議なものを感じたから。




「どうしたんだい、“アリス”?行こうじゃないか。」

「だから、どこへ…?」



また一歩、

また一歩、

わたしは後退っていく。



その分、白兎が追い詰めてくる

けれど、“それ”が怖いとは思わなくて、

わたしと白兎は同じことを繰り返していた。



ふと、白兎が立ち止まった

そして、あぁ…と呟いて白兎はポンと手を叩く。

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