スターダスト
「…い。…おい。」

「…う…。」

「…起きろ。」



誰かが私を呼ぶ声がした。

「…お前、なんでこんな所で寝てるんだよ。迷惑だ。」

「…あ、ごめんなさい。」

意識がまだはっきりしないまま、ゆっくり体を起こしながら、私は目の前の若い男性に誤っていた。

「やっと起きたか…。どうでもいいけど、人の家の玄関先で寝るのは、やめてくれよな。」

「…あの…、ごめんなさい。」

怒られながらも、意識がだんだんはっきりしてきた私は、周りの様子を伺った。
…ここは、いったいドコナンダロウ…。


溢れんばかりの…緑の絨毯に所々お花の模様…。
ううん…、違う。これは…本物?
この風も?
この…空も?
この………光までも?

今まで感じたことのない暖かな光。
蛍光灯や電球の光しか知らない私には、本当に眩しすぎて、目も開けてられない位の強い光…。


そんな光を全身に浴びた眩しすぎる人が、私を覗きこむ。

「立てるか?」

差し出された手を、恐る恐る借りながら、私はなんとか立ち上がった。


聞きたいことが…沢山ある。だけど、今の私には、目の前の光景が信じられず、口を閉じるのも忘れて、ただただ呆然と景色を眺めていた。

…手を離すのも忘れて…。




「バウッ!」

「キャアアア!!!」

どこから来たのか、毛むくじゃらの大きな「何か」が、私の体目がけて、飛び掛かってきた。

「こら、チビ!」


男の人が、私の手を引っ張り、抱きよせながら一言放った。

「おすわり!」

「クゥン…。」


男の人のその声だけで、「何か」は、大人しく座りこんだ。


その光景を、私は男の人の肩越しに見ていたわけだけれども…。




…もう、パニック状態…。



「な……、何なんですか、あれは!?」

必死に、冷静に質問を問いかけつもりだったが、もう、発狂に近いものになっていた。




……


…………


………………


「…は?」


「…え?」

男の人からの返事は、時が止まったかのように、遅かった…。
…なんか、オカシナ事、言ったかな…私…。


「…こいつ、俺のペットのチビだ。ゴールデンレトリバーだから体はデカいけどな。驚かせて、悪い。」


私を体から離しながら、男の人が説明をしてくれた。

…けど。


ペット?

ゴールデン…何?

大きいのに…チビ?


目を真ん丸くして、私はまた口を開けたまま、停止した。
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