実の弟に恋をしました。



「てゆうか、邪魔してごめんね。買い物帰りだったんでしょ?」


陸のぶらさげた買い物袋に気づいたのか、梓ちゃんは申し訳なさそうに両手を合わせてきた。


「ううん、大丈夫だよ」


あたしも、会えて嬉しかったし。



「じゃあ、またね」


「うん」


「……あ」


スカートを翻し、梓ちゃんが立ち止まる。


そして、遠慮がちに口を開いた。



「…良かったら、近いうちに遊びに行ってもいいかな?」


「えっ…」



……て、なんでここで固まるの、あたし!!


梓ちゃんは大切な幼馴染み。

拒否する理由がどこにある…?



「…ダメかな?」


「ダ、ダメじゃない!いつでも大歓迎だよっ」


そう言って、あたしは精一杯の笑顔を彼女に向けた。












まさかこれが、波乱の幕開けになるとも知らずに───。






     第12章 おわり
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