実の弟に恋をしました。
気づけば、辺りはすっかり夕暮れに包まれていて。
「…そろそろ帰らなきゃ」
カラスの鳴く声を皮切りに、あたしは立ち上がった。
──脳裏に、陸の横顔が浮かんだからだ。
きっと、遅くなったら心配する。
「……真弥」
「え?」
「最後に、お願い聞いてくれないかな」
お願い……?
「真弥の、手料理が食べたい。それだけ、最後に聞いてくれないかな……」
「…でも、」
手料理ってことは、雄司の家に上がるってことだよね。