約束
ママが一生懸命作ったごはんが並ぶテーブルをひっくり返されたときも,りさが薬になった。

無理やりパパの機嫌をとった。家族の中で平和を保つために頑張っていたのはりさだと思う。
パパの好きなアイスコーヒーを作ってあげたり,手をつないだり。
なにかと家族のご機嫌をとるのはりさだった。
家族の中で最も要領が悪いのはお姉ちゃんだった。パパのご機嫌とりでパパはお姉ちゃんよりりさのほうが可愛くなったのは仕方のないことだった。
姉が美容院ごっこをしててふざけてりさの髪を切ろうとした時があった。

「なにしとんだァァァ!」
と怒鳴りお姉ちゃんを勢いよく殴った。 お姉ちゃんのおなかを蹴った。
お姉ちゃんは泣きながら
「ごめんなさい」と言っていた。
それにママが気づき,お姉ちゃんをかばって殴られたり蹴られたり。
そしてまたりさが薬になる。

小さい時からこんなの嫌だった。
りさがいなくちゃ家族は壊れる。
上手くやらなきゃ家族は壊れる。
幸せはなくなる。
笑顔もなくなる。
喧嘩の度に「離婚」の言葉が出ていたから,りさの頭の中は「自分が頑張らなくちゃ」の文字でいっぱいだった。
パパが会社に行っている間に3人で会議だってした。離婚のことで。
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