天使のいいなり
何気なく、左の人差し指が目に入った。


瑞己が貼ってくれた絆創膏。
ジンジンするのは、傷口が傷むから?
それとも、瑞己の唇が触れたから?


「ねぇ、瑞己…。夏目センパイが見てたの気づいてた?」

「なんのコト?」



瑞己の前に人差し指を出す。


「…知らないよ。夏目くん、俺の後ろにいたじゃん。俺から見えるわけないし。第一、夏目くんに見られたら、なんかマズイの?」



あ…。今の会話の流れからすると、私が夏目センパイのコト好きだって、瑞己気づいてない??
バレたら絶対からかわれて、邪魔されそう。

よしっ。ココは黙っていたほうがいいよね。


「なんにも、ないよ。」

「ふーん。ならいいじゃん。」



会話が途切れ、無言になる。
でも、全然気まずい感じはなくて。
むしろ、この空気が落ち着くみたいで。

足の痛みと疲れから、私は瑞己の背中に委ねた。





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