天使のいいなり
「うーん。」とうなり声のような声を出しながら、腕を組み考え込む紗英さん。


すると今度は、何か閃いたようで、いきなり目を明ける。
忙しい人というか…。



「そういえば、カワイイゴムが欲しいって言ってたっけ。」

「ゴム…?」

「うん。髪結ぶやつ。バイトのトキ髪結ぶんだけど、ただの黒いゴムじゃヤダってさぁ。」

「はぁ。」

「でも、探してるトキに限って、カワイイやつって見つかんないんだよねぇ。」





そして、腕時計を見ながら、

「あっ!もうこんな時間。あたし行かなくちゃ。付き合ってくれてありがとね、夏目くん。」




言うだけ言うと、紗英さんは店を出て行った。
まさに立つ鳥あとをにごさずといった感じ…。







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