天使のいいなり

●出発

「ゴメンな、突然。こんなトコまでおしかけて。」

「ううん、大丈夫。」

「話したくてさ。ちょっとつきあってくんないか?」

「うん…。」



それだけ言うと、お互い無言になってしまった。

悠斗先輩は、何を話したいんだろう。
光莉ちゃんのコトかな?
光莉ちゃんは今どうしてるんだろ…。

そして、ドコへ行くんだろ。



私は悠斗先輩の後ろを歩く。半歩遅れたくらいで。
悠斗先輩は私が遅れないよう歩調をゆっくりとし、時々振り向いてにっこり笑ってくれる。

あぁ、この光景…。

すっごく懐かしいなぁ。


部活の帰りのコト。
方向が1人だけ違う私を、悠斗先輩が送ってくれた。


どうしてかな?

悠斗先輩といると、一瞬で高校時代に戻れる。
心地よいあの時間へ。



< 182 / 291 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop