天使のいいなり
「はぁ―――――。」


深く、大きいため息が一つ。


そりゃそうだよね…。
こんなの落とされて、ため息の一つや二つ、つきたくなるよね。

へへん、もうどうにでもなれ。




「あんの、バカ。そういうコトか…。明仁に無理矢理頼まれたんだろ?部屋変ってくれって。…俺、明仁に言ってくるよ。」


夏目センパイが入り口のドアへ向かおうとした、そのトキ。



コンコン。

ドアをノックする音が聞こえ、返事も待たずに紗英ちゃんが入ってきた。



「里緒、温泉行こ。」


温泉って、紗英ちゃん…。今それどころじゃないんですけど。


「里緒ってば、気遣わなくてもよかったのに。」

「え?」

「明仁が言ってたよ。“りおぽんが部屋変ってあげるって、どーしても言うからさ。断るのも悪いから、甘えちゃった。”って。」



< 216 / 291 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop