天使のいいなり
快調に走っていた車が、しだいにスピードを落としていく。



「2人とも、ここでいいの?」

「はい。すぐ家ですから、ここで大丈夫です。」

「今日は遼んち泊まるから。遼、俺パスタ食いたい。ナポリタン。」

「材料あったらな。」


えぇー、アッキーってば夏目センパイの家に泊まるの?
パスタも一緒に食べるの?

今、ものすごくアッキーが羨ましい…。



道路の脇に車を停め、アッキーと夏目センパイが車から降りた。


「紗英ちゃん、また電話する。りおぽんも瑞己もじゃーな。」

「今日はありがとうございました。」


紗英ちゃんに向かってペコリと頭を下げて挨拶した。
ほんっと、夏目センパイは礼儀正しいよね。
アッキーとは大違い。



「またね。」


私に向けられて言ってくれた言葉。

夏目センパイのたった一言が、私の心をドキドキさせる。
バイバイじゃなくて、またね。

また会いたい。明日も明後日も…。



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