天使のいいなり
<9>

●もう1度…

「みんな、忘れ物ない?」



紗英ちゃんがみんなに声をかける。

太陽が眩しい。
今日も、あの日みたいに暑い日になりそう。



「それじゃ、早く車に乗って。」


今日から私たちは、1泊2日の温泉旅行に出発。
紗英ちゃんが会社から仕事を頑張ったご褒美として、旅行券を貰ってきたの。


運転席に座る紗英ちゃん。
となると、当然助手席はアッキー。


私と夏目センパイは顔を見合わせ微笑むと、後部座席へと座った。




「温泉へ出発―――!」


車は快調に走り出す。

賑やかな車内。
4人の笑い声で溢れている。


そう、4人…。


行き先はあのトキと同じなのに、違うのは瑞己がいないコトだけ。

紗英ちゃんが貰ってきた旅行券も、最初から4人分だった…。



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