愛しいキミへ
ここでいろいろな話をした。
悩みの相談も、ここでしてたっけ・・・

「直哉。ありがとうな。」
「…なんだよ。急に改まって…。」
「色々と感謝してんだよ!」

俺が急にお礼を言ったからか、少し戸惑った顔をした。

高三で同じクラスになって、仲良くなった直哉。
でも、昔からずっと一緒のような感じがする。
それくらい心を許していたんだと思う。

自分の気持ちを溜め込んで、一人で悩んでしまう俺をわかってくれている人。
直哉がいたから、今日の俺がある。

「お前のおかげで、自分の進路を決めれたよ。」
「…親友を浪人生にしちゃったよ~!!」

わざとらしく頭を抱えた。

そう、俺はこの春から浪人生。
まだ受験は終わっていないのだ。


───年末

『浪人させてください。』

俺の言葉を聞いて、母親がすぐに反応した。

「受けてもいないのに、落ちる気でいるの!?まだわからないじゃない!」

下げた頭を上げて、真っ直ぐと両親を見て話し出す。

「どうしても行きたい大学があるんだ。でも、そこには願書を出してない。だから来年その大学一本で受験したい。」
「なに言ってるの?M大に行くって自分で決めたのに、今さら違う大学って…。」
「あぁ、確かに自分でM大に行くって言った。けどそれは学力が足りてなくて、安全圏の大学を選んだからで…。でも、それじゃダメなんだ!」

浪人することに反対なのだろう。
母さんと言い合いになる。
自分勝手なのはわかっている・・・でも、もう他の大学を受験するつもりはない
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