4年目の贈りもの[短編]
「もう30分はたってるのに…」
どこが“もうすぐ”なんだと、頭の中で愚痴をこぼす。
陵は、まだ来ていない。
あたしは陵に電話をしようと、携帯を取り出した。
その時。
「…あ、陵」
携帯に表示された【井山 陵】の文字。
あたしは通話ボタンを押して、口を開く。
「ちょっと陵、遅いよ!」
『あっ…綺ちゃん!?
俺!――和也[カズヤ]だけど!』
「え…和也、くん?」
陵の携帯から聞こえてきた、陵の親友――和也くんの声。
…どうして?
『陵…事故にあったんだ!
今すぐ病院に来て欲しい!
総合病院の前で待ってるからっ』
「…え?」
瞬間。
あたしの手から、携帯が滑り落ちる。
アスファルトの上で、カシャンと乾いた音を鳴らした。