なによりも...

寝顔


マナミが本を返したいといってあたし達は今図書室にいる。

マナミは読書家だから、また借りる本を選んでいるんだろう。

あたしは本が苦手だ。
読んでいてもすぐ飽きるし、意味わかんないし。


あたしは何となく、並べられている膨大な本を眺めながら図書室の奥の方へと進んでいった。


そこは本棚に囲まれてどこからも見えずらい長テーブルが1台あった。


そこには一人の男子もいた。
テーブルに伏せて、すやすやと寝息をたてている。


ーあたしは唖然とした。
この学校にこんなに綺麗な寝顔をした人がいたのか、とーー

しばらくあたしはその寝顔から目を話す事が出来なくて、ただ突っ立ったていた。

整ったりりしい眉毛
高い鼻
短めな髪をワックスで無造作にたてている。


あたしは恋に落ちてしまった……




うつ伏せになっているせいで学年クラスバッチが見えない。

外見とはうらはらに
勉強をしていたようだ。


教科書に書いてある名前を、あたしはおそるおそる起こさないように読んでみた。
いかにも男の人という字だ。

『小林陽太』
『コバヤシ ヨウタ』



読んだ瞬間
自分の心にスーッと溶けて深く刻まれた。

『小林陽太』

忘れる事なんて出来ない。

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