来る来る廻る

社交辞令の会話から始まり…本題に入ってきた。

野田が聞く。

「で、店長、あの男に幾らぐらい貸したんですか?」

「……何十万よ…」

言葉を濁した…何て答えていいのかわからないもの。

貸した金額? は0円?
でも私の貯蓄は底をついた。

これは投資?佐々木に?
いいえ、私の単なる無駄遣い?

今更、お金なんて返してほしい訳じゃない。

私自身も承知で使ったお金だから、仕方ない事だと思う。

ただ、私は気持ちを…心を返してほしいの。

この芽生えた命に、責任感じてほしいの。

野田が聞いてきた、一番痛い部分を…。

「店長、あの男と付き合ってたんでしょ?」

答えられないまま、私も野田に質問した。

「…野田さんは?佐々木君とどんな関係だったの?」

沈黙になった…この次に言葉出すのはどっち?

暗黙の勝負…と、野田の表情が変わった。

うっすらと口元に苦笑を見せ、話し出した。

「あいつは超ワル男よ。まぁ、ホスト上がりだから、当然と言えば当然だけど、女なんて金庫代わりにしか思ってない男……」

何て事…それは…わかった、それは理解出来るかも知れない…でも私は、そこから先が聞きたいの。

< 217 / 267 >

この作品をシェア

pagetop