来る来る廻る


亜紀子は違った……何の努力もなしに自ら湧くこの性欲を、恋だと思った。

またしたい、やりたいと…脳が指令を出す。

毎日でも会いたいと思った。

いつものように、俺は部屋の鍵を渡す。

次の日から…女は立派な家政婦に変身する。

部屋の埃は見事に取り去られ…毎日、洗濯したてのシーツで眠れる。

栄養バランスばっちりの手の込んだ料理を食らい…欲情はいつでも排出出来た。

世話を焼く毎に、女の恋愛ボルテージは上昇していき、俺のボルテージは下降線を辿る。

やがてマンネリリズムが訪れ…性欲は失せていき…その流れに気付かない女は、胸の谷間が強調されたキャミソールを着け…俺に見せつける。

金の出る客ならまだしも…金もない、欲情も失せた女とやるのは…苦痛以外何でもない。

この湧き出る感情は…自分の意思ではどうする事も出来ないのさ。

普通の一般人は、恋から愛に変化していくと言う。

 で、愛とは何ぞや?

俺の周りはいつだって女だらけ、いつでも選び放題…一つの恋が冷めかけた頃には、次の新しい恋がひょっこり顔を出している。


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