来る来る廻る
挙げ句の果て、ニックネームがついた。

眼鏡ぶたをもじって…命名…メガトン…。

少女マンガに登場する瞳キラキラのスレンダーヒロインとは全く遠くかけ離れ、現実と言う鏡を避けるようになっていった。

リウマチを持っていた母が、私が高校へ行く頃から悪化するスピードが、次第に早くなっていった。

関節という関節が腫れ、痛み、歩き方もおかしくなり、手足の指が曲がる、曲がる…。

女王の座から引退せざるを得なくなった。

仕事を奪われた母は、整形外科医と針灸院と家のトライアングルを行ったり来たり、家事も思うようにならず、痛みの世界をさまよった。

サンタは世間の家と同じ周期、年に一度しか訪れなくなり、心身の拠り所は、一人娘の私に尚一層、集中するようになった。

下校後、買い物、掃除、洗濯、料理と大忙しの毎日で、友達との付き合いは全く無縁の状態…この世界で、自分以外の人間は、母一人になった。

世間で…私達は、吉田一卵性親子と呼ばれていた。

高校卒業後、父からの手当てだけでは、とても進学出来る余裕はなかったので、私は就職を希望した。


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表紙・目次

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