いとしのネコミミ騎士(ナイト)さま!! ~イケメン騎士軍団と砂の国~
『姫様?』

知らない男の人の声がする。

あたしを呼んでいるみたい。


でも、待って!!


姫様?

姫様って『白雪姫』とか『かぐや姫』とかの『姫』?

誰?

そんなふうに呼ぶやつは!?


バチッ!


驚くほど勢いよく、あたしの両目は開いた。

二、三度大きくまばたきをする。


見慣れない高ーい天井。
見慣れないシャンデリア。
見慣れない高級そうな調度品。
見慣れない赤い絨毯。
見慣れないゴージャスなお部屋。


見慣れない顔。


顔?

顔ぉ!!


「ひやぁぁぁぁぁ!!!!」


女の子なのに可愛げのない叫び声が飛びだした。

まわりを超絶美形が取り囲んでいた。


1。2。3。4人。


絶世の美男子たちが心配そうにあたしの顔を覗き込んでいた。


「気づかれましたか、姫様?」


美男子軍団の一人、最年長らしい青年が尋ねた。

白銀色の絹糸みたいに細くて長い髪。

それを器用に後ろでかんざしで結っていた。

ダークグレーの瞳にかけたメガネを直しながら、彼はにっこりとほほえんだ。

中世的なお顔立ちは、女性と間違えられても仕方ないくらい。

その妖艶さといったら例えられない。

ああ、その笑顔はもう菩薩様です。
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