ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】




横浜での迎えた二度目の冬―――――


その日は、テニス部の仲間との忘年会。
俺も結可子も、気心知れたヤツらと酒を囲んで飲みまくっていた。


俺は、酒が強くないのにも拘わらず、周りのペースにいい感じに流されて、ぐでんぐでんに酔い潰れていた。


酔い潰れるまで飲んだのには、ワケがあった。


数日前に遠距離恋愛していた彼女と別れたばかりだった俺。


とにかく酔いたかった。


“真ちゃん、全然連絡くれなくてあたし寂しかった………だからあたし、二股かけてた。その彼、あたしが寂しい時にいつもそばにいてくれて………ごめんなさい”


俺が気まぐれで、仙台にいる彼女に対してちっともマメじゃなかったから。


他所に男作られても仕方ない。
俺は彼女に対して、何もしていなかったのだから。

離れていても、絆が繋がっているから………なんて、バカげた事を信じていたから。




ホント、俺ってバカ。


“自業自得”とはこのことだ。


とどめは別れ際。
彼女が愛おしそうに、自分のお腹を摩り、

“ここに赤ちゃん、いるんだって”


そこには、俺が知ってる彼女ではなく、一人の知らない“母親”がいた―――




遠恋の彼女をさんざっぱらほったらかしにしていた俺が、今更何を憂う?


ピエロみたいな自分に腹が立って。
酔わずにいられなかったから、強くない酒を浴びる程飲んでた。


仲間は決して悪気があるワケじゃないが、どやどやと五月蝿(うるさ)く言い放っていたが、結可子は何も言わず、介抱してくれた。


いつもなら、何かしら言ってくる彼女が―――――




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