２ＬＤＫのお姫様
「来たよ」


コーヒーが出来上がると同時に彼がやって来た。


早く寝たかったシオリにはあいにくだが、彼は普通にパジャマではなくお出かけの服をお召しになっていた。


「お、やっぱり来たわね。シオリお腹空いてるらしいから、どこか連れていってやって」


『良いのよ、別に無理しなくて。もう遅いし……』


「いや別に良いよ。先輩は良いんですか」


「私は結構。もう眠いから」


ホノカはわざとらしい欠伸をしながら、ソファーでコーヒーを飲み始めた。


「じゃあ直ぐに帰るので」


『戸締まりには気を付けるのよ』


「大丈夫だって」


不安をよそにシオリはレストランへと向かった。


２４時間のレストランなどファミレスくらいしか無い。


「近くのファミレスで良いですか」


『うん……』


ホノカは二人が車で出ていくのをベランダから眺めていた。


「あ……、素麺食べたいな」


本当は空腹だったのに、二人を行かせてしまったのを後悔したのは言うまでもない。


しかし二人で行かせれば取り敢えず怒っていたことは忘れてくれるだろう。


「頼んだよ、大くん」





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