月の心~それぞれの心
「本当はね、貴方もいつも見守られているのよ。空に輝いている太陽に…」

その言葉を聞いた時
お月さまは
いつも自分を
包んでくれている
暖かい光があった事に
気付きました

産まれた時から
太陽は輝いていて
それが当たり前すぎて
意識をしていなかった
お月さまには
気付けなかったのです

「太陽は夜の闇の中でも貴方が輝けるように、優しく包んでくれているでしょう?」

『はい…そうですね』

「そして昼間には、貴方が少しでも休めるように、貴方に代わって輝いていた…」

『うん…うん……』

お月さまは
自分が見守られていた事に
そのあまりの嬉しさに
ポロポロと
大粒の涙をこぼしました

「ねぇ、わかるでしょう…貴方は一人ぼっちじゃないのよ」

そう言っておばあさんは
大きく…大きく手を広げ
お月さまを優しく
抱きしめました

そう…確かにその瞬間
おばあさんとお月さまは
同じ空間にいました


『ありがとう…』

お月さまは
おばあさんの温もりに
身を委ねながら言いました

「もう、大丈夫よね?」

『うん、私は一人ぼっちじゃないから…』

その言葉を聞いたおばあさんは

「私も…貴方のおかげで、幸せな人生だったよ…ありがとう」

おばあさんはそう言うと
優しく…優しく微笑んで


ゆっくりと天に召されてゆきました



お月さまは
また泣きました

けれど今度の涙は
おばあさんへの感謝と
自分が見守られている事の
幸せからくる涙でした


その涙は宇宙にとどまり
無数の星々の群れに
なりました

そしてそれはいつしか

『天の川』

と呼ばれるように
なりました


お月さまは今日も
地球を見守っています
明日も…
それより遥か先も

輝く太陽に
そして地球に住む
全ての生き物に
見守られながら

今日もお月さまは
輝いています…

抱えきれないくらいの
たくさんの思い出を胸に


今日もお月さまは…
優しく輝く…
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