君の音

スタジオを出たら震えるほど寒くて思わずマフラーの中に顔を潜らせた。

「はー…さみい。
今日も居るかな…?」




俺には、最近気になる奴が居る。


話した事はないんだけど。





それはいつも通る道で、


いつもいつも通る道で、


気にも止まらない様な真っ白な場所にある時、突然虹が現れた。




通りの一部が窪んでて
いつもは地域の集会や、ちょっとした集まりに使われるスペースで、人がいなければただの白い空間だった




初めて見た時は、足を止めてボーッと見てた。

まだ書きかけで未完成な虹は それでも綺麗だった。

それからは毎日少しずつ出来上がる虹を見るのが楽しみで…
それ以上に その虹を作り出している人が気になって

いつもは運悪く作り出している人が帰った後で、どんな人か分からないままだったけど、ここ数日は仕上げに入ってるのか遅くまで居ることが多い。


何人かで書いていると思っていたが、彼一人だった。
彼一人で作り出す虹は
本当に綺麗で…

絵なんて分からないし、
興味もなかったが

そんな俺でも凄いと思う虹だった。
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