幸せは蜜の味

ホラー体験?

コンビニに立ち寄って、欲しかった雑誌とデザートを買って帰った。
お昼ごはんをみんなで食べて、私のデザートを勝手につまみ食いした鉄平を叱って。
私は今、部屋で寛いでいる。
早速、ケータイのストラップを付け替えて、ケータイをケースに入れて眺めてみた。

「うん…可愛い」

ストラップはケースの外に出せるようになっているから、出し入れするのに便利そうだ。
それから…そう、幸せを呼ぶクマだ。
妊婦さんは、名前をつけろって言ってたよね。
私はクマを手のひらに乗せて、ぼんやり考えた。
男の子の名前、ねぇ…。

「…小鉄でいいか」

ぱっと思い浮かんだのは、弟の鉄平の名前。
このクマは今日からウチの子になるんだから、鉄の字を入れて、小さいからコテツ。
……うぅ、ネーミングセンスないなぁ、私…。

「小鉄って…クマのぬいぐるみにどんだけ渋い名前つけてんだよ」
「そうだよねぇ、やっぱ変え…」

聞こえてきた声に無意識に返事をした私は、思わず言葉を止めた。
今、私は部屋にひとりきり。
え、何、このホラーな展開。

「ちなみに、今更名前変えられねぇからな」

言葉と同時に、手のひらの上で何かが動く感覚。
思わず手を払うように動かしちゃった私は悪くない!
だって怖いでしょ?! 正体不明の声に、なんか手に感触が…

「乱暴なヤツだな…」
「だっ、誰よ、アンタ!」

怖いっ、怖いってば!

「下見ろ、下」

下見ろって言われても…うぅ、怖い。
声が聞こえる時点で虫とかじゃないって分かってるし…。
それでも、正体不明の方が怖いから、そろそろと下に視線を落として…

「よぉ」

ラグの上に2本足で立ち、軽く片手を上げたクマを発見してしまった。
< 6 / 6 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop