Serafine
天使と悪魔

プロローグ

 幼い頃、父は死んだと母に言われてた。

母はクラブのママだ。
いわゆる水商売。
小学生に上がるまでは、色々と構って
くれてたけど、エスカレーター式の学校に
入ってからは、放置プレイに近い。
とりあえず、晩ご飯の時間に、母が居た事の方が
断然、少ない。
おかげで、ここまでたくましく、好き勝手に育った。

やりたい放題の生活。
そして、寂しい生活。

 でも、寂しいって気持ちもよく解らないから
周りから「コドッキーだよね〜」と言われても
そんなに、孤独を感じた事も無かった。
むしろ、気を遣う相手が居ないので楽だった。

私の友達はカメラだけで良いし
カメラを持ってると楽しかった。
見えない世界が、より鮮明に見えたりする。
だから、毎日、飽きもせずカメラを持って
友達と遊び歩いていた。

中学2年の夏休みに、母は肝臓を患って死んだ。
やっぱり、周りにさらに「孤独」扱いを、あからさまに
されて、私の代わりに泣く奴とか出てきてて
奇妙な感じだった。
変わり者バンザイで、私はそのおばちゃんの写真を
撮ってたりしてた。

母の遺書の中に、見てはいけない物を見た。

な・・・
なんと!私には父が存在してるじゃないかっ!!

すげぇぇ!!
生きてるんだよな。
うわー!!どうしよう!

どうやら、認知された子供だったらしい。
母は不倫だか、愛人だったかしたのだろう。
職業的にありえる話しだよな。

そんな事より、孤独じゃ無かったことと
好奇心に満ち溢れる性格に育てて貰った事を
感謝して、戸籍謄本を握りしめ、地元の駅を出た。

その日は、もの凄く暑かったんだ。
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