ケータイ恋愛小説家
「昨日、いつの間に帰ってた?」


「へ?」


「オレ……酒入ってたから全然覚えてねーんだ。いつもはあんなに弱くないんだけど……寝不足だったせいもあって……」


そう。

昨夜、あたしは眠ってしまった蓮君に布団をかけると、彼を起こさないように、そっと部屋を出たのだった。


「ああ、蓮君寝ちゃったから起こすの悪いかなぁ……って思って。勝手に帰ってごめんなさい」


「いや、日向が謝ることじゃねっつうか……むしろオレのせいだし。……つか、オレ、なんかかっこ悪っ」


蓮君は恥ずかしそうに顔を覆った。

きっとあたしを一人で帰してしまったことに責任を感じてるんだろうな。

蓮君てそういうとこ律儀なんだよね。


「蓮君、あたしなら平気だよ? 気にしないでいいのに……。そんなことわざわざ言いに来てくれたの?」


「いや、それだけじゃなくて……」


蓮君は顔を上げる。

気のせいかその顔がみるみる赤くなっていくような気がした。



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