ケータイ恋愛小説家
蓮君の態度に怒りとか恥ずかしさとか色んな思いがこみ上げて耳まで真っ赤になるあたし。


「なんでよ? だいたいちゃんと読んだの? 30分ぐらいしか見てないじゃん!」


そうだよ。

さわりだけ読んで何がわかるのよ!

あたしの小説は長編ばかり。

最後まで読みきろうと思ったら、かなり時間がかかるはず。


「全部読まなくても最初と最後と目次だけ見て……あと適当にかいつまんで読めばだいたいわかるよ」


蓮君はストローを口に咥えたまま、上目遣いでそう言う。


「超イケメンのモテモテ男と? 超可愛いモテモテの女の子が出会って? 恋するって? そんな選ばれし者の恋愛のどこがおもしれーの?」


「そっ……! そんな単純じゃないもん! 途中でライバルが登場したり……するし……」


「んなの、想定内でしょ? 何があっても、コイツらとりあえず上手く行くんだろうなってバレバレだっつの。だいたいライバルの女がわかりやすい意地悪しすぎ……。ここまで露骨なヤツ、普通いねーだろ」


うっ……。

でも、でも!

それはあたしの処女作なんだもん。

まだ未熟な点がいっぱいあったんだよ。


「ほ……他のも読んでよ!」



「読んだよ?」


「へ?」
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